設計者の自宅の新築計画です。建築地の周辺は明治時代から鉄道網が発達し、かつては大きな紡績工場も立地していました。現在では、古くからの民家と新築の戸建住宅、中小の工場、歴史的な寺院などが入り混じる域地となっています。建築地は北側と東側が道路に接する角地であり、南側には小規模の工場建屋が建っています。
1階の南側はLDK、北側を多目的室としました。多目的室は、東側道路に面して木製片引戸を設け外部からのアクセスを容易にしています。現在は設計者や家族の仕事場、書斎と利用しています。多目的室とLDKは木製片引戸で仕切ることができ、開け放てば一体の空間として利用可能です。2階は寝室と、トイレ・洗面・浴室を配し、プライベートな空間としています。
外部開口は道路に面する東側にまとめ、開放的な視界が得られるようにしました。2階南東側には防火構造の袖壁を設け、開口部に延焼のおそれのある部分が掛からないようにしています。延焼リスクを低減するとともに、通常品のサッシの使用を可能にしコストダウンを図っています。
外壁はガルバリウム鋼板の小波板を張っています。屋根は3寸勾配の切妻とし、軒高を抑えてコンパクトな立面にまとめています。住宅、中小の工場建屋が混在する地域に溶け込むことを意図した立面です。断熱材は屋根は60mm、壁は45mmのフェノールフォームを採用し必要十分な断熱性能を確保しました。基礎、屋根、壁ともに外張断熱として建物全体を包み込み、壁体内結露のリスク低減と高気密化を図っています。
所在地:愛知県岡崎市
用途地域等:市街化区域 準工業地域 準防火地域
認定:低炭素建築物
構造:木造2階建て 在来軸組構法
延べ面積:71.73m2
設計:有限会社藤江建築総合事務所 藤江渉
施工:株式会社奥井ハウス